Dangal
監督 ニティーシュ・ティワリ  
出演 アーミル・カーン ファティマ・サナ・シャイク サニヤ・マルホートラー サクシ・タンワル他
2016年12月公開

 
<あらすじ>
1988年、ソウル五輪レスリング決勝をテレビ観戦していたマハヴィール・シン・ポガット(アーミル・カーン)。
インドがレスリングでメダルを得られないのは、インド人選手が弱いからではなく国からの支援も設備もないからだとつぶやく。
職場の同僚から挑発を受け見事な技で投げ飛ばしたマハヴィールは、かつて国代表レベルのレスリング選手だったが、経済的な理由でレスリングを辞めざるを得なかった過去を持っていた。
 
インドにレスリング金メダルをもたらす夢を息子に託すマハヴィール。
しかし生まれた子どもは女の子だった。
同じ町の人々はこぞって男子を授かる方法をアドバイスするが、二人めも女の子、生まれた子ども四人すべてが女の子だった。
 
レスリングの夢を叶えるには男子でなくてはならないと、失意に沈むマハヴィール。
そんなある日、長女ギータ(子役ザイラ・ワーシム/ファティマ・サナ・シャイク)と次女バビータ(子役スハニ・バトナガル/サニヤ・マルホートラ)が近所の男の子二人と喧嘩をし、相手をあざだらけにするという事件が起きる。その様子を見てひらめくマハヴィール。
"男子でも女子でも金メダルは金メダルだ"
翌日から、ギータとバビータをレスラーにするべく、過酷なトレーニングをはじめる。
ハリヤーナ州の小さな田舎町では女子がレスリングをするのは考えられないことで、嘲笑され、非難される。しかしマハヴィールは意にも介さず、レスリング場に入ることを断られれば自分で作り、甥のオムカル(アパルシャクティ・クラーナー)に相手をさせて、娘たちのトレーニングに全力を注ぎ込む。
 
厳しいトレーニングと周囲に笑い物にされることから、娘たちは反抗を試みる。二人は学校の同級生の結婚パーティにこっそり参加し、踊るが、父に見つかってしまう。
楽しみをすべて奪って常識はずれのトレーニングを娘に課すひどい父を結婚する友人に嘆くが、その友人はこう言う。
"私のお父さんもそういう人なら良かった"
娘が生まれれば家事だけを教え、14にもなれば顔も知らない相手と結婚させることしか考えない、そういう現実に対して、少なくともマハヴィールは娘たち自身のことを考え、娘たちの人生を考えていると。
 
それが転機となり、ギータとバビータは自らの意志でレスリングに打ち込むようになる。
出場したインド伝統の泥レスリングの大会では男子を打ち負かし、次々に勝ち進む。
レスリングの国際ルールも学び、ギータはサブ・ジュニア、ジュニア、シニアでもインド女子レスリングのチャンピオンとなった。
 
チャンピオンとなったギータは国立スポーツ学院のナショナル・チームに所属することになる。
新しいコーチは、今まで学んだことはすべて忘れ、「正しい」トレーニング方法を身につけることが強くなる道だと言う。父と離れての新しい生活、新しい友人に心弾ませるギータ。
 
ひさしぶりの帰宅で、父の教えである技をもう古いと言い、父と闘って勝ってしまうギータ。
バビータは変わらず父をコーチとして師事し、やがてインド女子国内チャンピオンとなり姉と同じナショナルチーム所属となった。一方でギータは国際試合では思うように実力を発揮できないことが続いていた。
バビータは、変わってしまった姉に対して、国際試合で負けても悔しさを見せない様子に疑問をぶつける。
 
そしてインド開催のコモンウェルス・ゲーム(※旧英連邦の国々が参加する国際スポーツ大会)が迫る。国際試合では勝てていないギータは、55kg級から51kg級へと階級を落とすように命じられる。
ナショナルチームのコーチによる指導がギータの闘い方に合っていないと感じていたマハヴィールは、出入りを禁じられながらも外部から指示を出し、ギータは階級を落とさないまま勝利して決勝へ進む。
一方で面子をつぶされたコーチは陰湿な嫌がらせを行う―
 
レスリングルール(当時・現在は新ルール)
 
・得点は1、2、3、5ポイントの四種類
 
・腰を持ち相手の両ひざをマットにつける:1ポイント
・寝技の状態から相手をひっくり返し背中をつける:2ポイント
・立った状態から相手を投げ背中をつける:3ポイント
・立った状態から自分の頭上を越えて相手を投げ、背中から落とした場合:5ポイント
 
・レスリングマットの黄色い円が場内、赤い円から外に出ると点を失う:相手に1ポイント
 
・2分ごとの3ラウンド制
・ポイントの多い方がそのラウンドの勝者
・3ラウンドのうち2ラウンドを得た方が勝利
 
※インド伝統の泥レスリング(ダンガル)はポイントはなく、相手の背中を地面につけた方が勝ちのようです
 
出演者
 
アーミル・カーン
前作PKの引き締まった体から20kg以上体重を増やし、50代の老いたマハヴィールを演じる。そののち 半年で再びやせて20歳前後の若いシーンを演じた。体脂肪率は9%→38%→9%。
作品は脚本で選び、役作りに全力を注ぐ完璧主義のため、Dangalの撮影にも二年をかけた。プロデューサ ーとしても評価が高く、Dangalでも主演兼制作。
 
ファティマ・サナ・シャイク
長女ギータ役
サニヤ・マルホートラー
次女バビータ役
どちらも新人。レスリングは全くの未経験で、ナショナルチームとともに1からトレーニングした。
激しいトレーニングでケガをしても降板させられることを恐れて黙っていたというエピソードも。
最終的には実際のレスリング選手としても通用するほどの技を身につけた。
プライベートでもずっと一緒にいて「お互いが恋人なんじゃないか」と言われるほど仲が良いらしい。
 
サクシ・タンワル
マハヴィールの妻・ギータとバビータの母役。時にはマハヴィールに異議を唱えつつも、
娘たちとマハヴィールの夢をサポートする。
テレビドラマの大人気女優で、特に中高年女性からの圧倒的支持を誇る。
アーミル・カーンの母がファンで、その推薦でキャスティングされた。